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「癒す油」を見つける(4)

[4] 『癒す油』になる「オメガ3」

もうひとつの多価不飽和脂肪酸である「オメガ3」について説明しましょう。 「オメガ3」の代表的な脂肪酸は「アルファ-リノレン酸」です。[3]で説明した「オメガ6」と同じように最も繊細で 敏感な性質を持つ脂肪酸類ですから、扱い方を間違えれば劣化が激しく起ります。その反応性は「オメガ6」よりも「オメガ3」のほうが約5倍も高いと言われています。ですから、高温での加熱、長時間空気にさらすこと、直接光を当てることは禁物です。しかし、上手に使ってあげれば『癒す油』として私たちの健康づくりを後押ししてくれます。

また、「オメガ6」と同じように、私たちのからだの中で作り出すことができない栄養素なので、食べて口から入れな ければどんどん枯渇してしまう脂肪酸です。

さて、気になる「オメガ6」と「オメガ3」の摂取比ですが、現代に生きる私たちは今現在、どれくらいの比率で食べているのでしょうか?

カナダのウド・エラスムス博士によれば、私たちは10対1〜20対1の割合で「オメガ6」に属する「リノール酸」ばかりを多く食べているようです。そして、現代食は「リノール酸」過多になりがちで、一方の「オメガ3」を食べそこなっており(理由は[5]で説明します)、それが多くの生活習慣病の火種になっていることもわかってきています。

カナダ北部で最近まで伝統的な暮らしを続けてきたイヌイット民族は、以前は生のクジラの脂身やアザラシの脂身、魚が食生活の中心でした。いつもたくさんの生脂肪をたべていたわけですが、彼らの中には血栓症、心筋梗塞や脳卒中、がん、糖尿病、多発性硬化症などのいわゆる生活習慣病で命を落とす人がほとんどいませんでした。なぜかというと、食材のなかには「オメガ3」がたくさん入っていたからだと考えられています。

では、「オメガ6」と「オメガ3」の理想的な摂取比についてお話しましょう。地域によってよく食べる食材の種類が 異なっていますし、それぞれ食文化が違っていますから、世界中の人が同じ比率にぴったり合わせるわけにはいきませんが、おおまかなめやすとしては、「オメガ6」対「オメガ3」を4対1〜1対2の割合にすることを目標に、油や脂肪を食べるのが良いとされています。ちなみに、イヌイットの伝統食は1対2.5、心臓病による死亡率が低い地中海地域では4対1です。

実践的な一例としては、ウド博士が言っているように、今現在は10対1で食べているのなら、これからは「オメガ6」の 「リノール酸」などは現在の半分の量に減らす努力をして、逆に「オメガ3」の「アルファ-リノレン酸」などを2〜4倍多く食べるようにすれば良いでしょう。

さて、「オメガ3」不足になると次のような症状が出ることが指摘されています。

「オメガ3」不足が引き起こす不快症状
成長の遅れ/行動の異常化/衰弱/視力低下/学習障害/うつ/難読症/運動神経の低下/筋肉の弱体化/傷口の治りの 悪さ/腕や脚のチクチクする感じ/インシュリン抵抗性/高トリグリセリド/高血圧/血栓ができやすい/高リポタンパ ク(a)/高フィブリノーゲン/組織内炎症/消化管漏出/アレルギー/自己免疫症状/腫瘍成長の感受性の増加/水貯 留や浮腫/乾燥肌や皮膚の炎症/代謝の低下/エネルギーの低下/甲状腺と副腎機能の低下/低テストステロン/そのほか

「オメガ3」を上手に取り入れて、不快症状とはサヨナラしたいものです。また、「オメガ3」は、善玉コレステロール(HDL)を高め、血圧を下げ、血栓の危険性を低くするのを助けてくれる、まったく夢のような栄養素でもあります。まさに、今まで見逃していた『癒す油』と言えるでしょう。

『魚を食べると頭が良くなる♪…』こんなフレーズをどこかで聞いたことがありませんか?冷たい水に生息する魚には、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)という脂肪酸が入っています。魚の油は、牛や豚などの脂肪とは違い、温度の低い水中でも固まらないようにできています。その正体がDHAやEPAです。このDHAやEPAは、私たちの脳など神経が働く場所でたくさん必要になる栄養素なため、『頭が良くなる♪』のです。

イラストDHAやEPAは、じつは「アルファ-リノレン酸」と同じ「オメガ3」です。そして、「アルファ-リノレン酸」を食べていれば、からだの中でDHAやEPAを作ることができます。魚を食べる機会が少ない人や嫌いな人は、「アルファ-リノレン酸」が豊富な油を食生活に取り入れると良いかもしれません。脳の働きを良くするわけですから、学習能力や記憶力の改善、老人性痴呆症の予防にもなるでしょう。

ただし、「オメガ3」である「アルファ-リノレン酸」はデリケートな脂肪酸なので、加熱しない・長時間空気に触れさせない・光に当てないということに注意して新鮮なうちに食べるようにしてください。




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