
「不飽和脂肪酸」は、さらに「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分類することができます。次は一価不飽和脂肪酸である「オメガ9」についてお話しましょう。 植物油の宣伝で耳にする「オレイン酸」という栄養素がありますが、これが「オメガ9」です。善玉コレステロール(HDL)を高め、悪玉コレステロール(LDL)を低くすることがわかった「オレイン酸」は、動脈硬化の予防として利用することができ、比較的劣化しにくい面もあり、一気に『からだに良い油』という好印象を得てきました。
この「オレイン酸」ばやりは、オリーブ油の人気が発端になって始まったものです。オリーブ油を豊富に使う地中海地域に暮らす人たちの心臓病死亡率がとても低いことがわかり、オリーブ油は健康な油として世界中で人気を博しました。
しかし、だからといって、台所で使う油を全てオリーブ油に変え、オリーブ油でなら油炒めもてんぷらも怖くないかというと、それは都合の良すぎる間違いです。地中海地域の人たちは、上質なオリーブ油を生のまま食べることが多いという点を見逃してはいけません。オリーブ油で揚げたフライを毎日食べて死亡率を下げてきたわけではないのです。
地中海地域に住む人たちは油が生鮮食品だということをよく知っています。最も質の高い「エキストラ・バージン」と明確に表示されたオリーブ油を生のまま新鮮な野菜にかけたり、パンにつけたりしてよく食べます。「エキストラ・バージン」の良い点は、油の劣化を促進させないようにオリーブの実を低温のまま圧搾しているところにあります。このように手間をかけて劣化を防ぐ努力をしているので、油の中に含まれているたくさんの自然な栄養素も生きたまま残っており、よい香りがします。
オリーブ油に限らずどんな種類の油でも、低温のまま圧搾によって搾られたもの以外は質の劣化が激しく進んでおり、実際は『危険な油』([5]で説明します)になっているのがほとんどです。油を劣化させる3大原因は、「高温・酸素・光」です。ですから最高品質の油は、低温のまま圧搾されたもので、ほぼ真空状態で酸素に触れること無く油の加工がおこなわれ、最後は光で劣化しないように色付き容器に入れられています。お店で売られている植物油の品質表示や容器を見比べたりして、良質な油を選べるように目を養っていきましょう。
オリーブ油などに多く含まれているこの「オレイン酸」は、「飽和脂肪酸」と同じように私たちのからだの中で作ることができる脂肪酸です。